日本人(の一部)にウケそうなベルニーニ作品を3つ挙げるとしたら
ジャン・ロレンツォ・ベルニーニはバロック時代の彫刻家で建築家で画家です。先月、ねんがんのボルゲーゼ美術館に行って、本物のベルニーニ作品を見てきたおかげで、多分年内いっぱいは私は「ベルニーニ!ベルニーニ!」言ってると思います。
- ドラマティックかつサプライズでスペクタクル
- リアルな人体より、かっこいい人物像の表現
- 脱ぐエロスより、脱がないエロス!
・・・こういうのが好きな人はベルニーニちょうおススメです。つまりベルニーニはもっと日本人に知られていいと思います。「現代日本の人が古代ローマのベルニーニに弟子入りしてドールマスターを目指す」漫画があってもおかしくないと思う程度にそう思います。本当にベルニーニの作った彫刻なら動いても不思議じゃない(`・ω・´)
というわけで、日本人(の一部)にウケそうなベルニーニ作品を挙げてみます。
1. プロセルピナの略奪
ベルニーニの彫刻はドラマの1シーン、それもクライマックスをモチーフにしたものが多いです。この『プロセルピナの略奪』は、プロセルピナに一目ぼれした冥王プルトが無理やり彼女を攫っていくというシーン。
見どころは、大理石だって事を忘れるくらいの柔らかさの表現。やわ肌っぷり。ここだけ拡大した写真は本当にえろすです。ついでによーく見ると、涙も刻まれているんですよ。
2. 聖テレサの法悦(聖テレジアの法悦)
ベルニーニは歴代の教皇達に寵愛された人でもあります。教皇のお墓を作ったり、教会の装飾をしたり、聖人像をつくったり、宗教施設の仕事も多く手がけました。『聖テレサの法悦』は、聖女テレサの神秘体験をモチーフにしています。幻の中に見た天使によって彼女は心臓を貫かれます。激しい痛みのために手足は動かず、しかし神の愛撫を受け恍惚を感じる・・・。
見どころというかなんというか、えろすです。
3. サン・ピエトロ広場
ベルニーニは建築も手がけてます。サン・ピエトロ広場の改修もそうなんですが、改修の方が新しく建てるより難しいのは良くあることで、この時も、「既にある建物との兼ね合いや実用性(集会にくる信者をより多く受け入れる)も考えつつ、ついでに特定のイベントでも使えるようにできたらいいなーもちろん威厳ある美しい建物で。」という状態でした。
それを「サン・ピエトロはすべての教会の母なのだkら、両腕を広げて受容を表現した柱廊がいい」という意味はもちろん、機能的にも美的にも要求を満たすものを作ったのが、この広場です。さらに、何人もの弟子を指揮して聖人像140体を作ったりと、ベルニーニという人は「自分の美的感覚を発露するだけでない」ところがすごいです。
ヒーロー大集合みたいな趣があって良いですね。
ベルニーニは若くして認められ、しかも多作だったのでたくさん作品が残ってます。特にローマの街を観光すれば必ずベルニーニの彫刻や建築、装飾作品にぶち当たるので、3つ挙げるとか本当に辛いです。私は『シピオーネ・ボルゲーゼ』肖像も大好きですし、キージ礼拝堂の『聖ヒエロニムス』もかっこいいと思います。『聖ペテロの司教座』とかやりすぎなくらいド派手でまぶしいです。
そんなわけで、イタリア行った時、観光ガイドさんに「ボルゲーゼ美術館に行きたい日本人なんてちょう珍しい!専門学生?」とか言われたので、日本でももっと有名になってほしいなーと思って書いてみました。ベルニーニいいよいいよ!
参考文献
最初に見るなら、マウリツィオ・ファジョーロ著『ベルニーニ』が良いと思います。大判のカラーページで作品がでーん!とみられ、簡単な作品評や特徴が読めます。もっと詳しく知りたいとか、ローマを観光しに行くなら、石鍋さんの本を読んでおくと良いですー。ここで挙げる本以外でも、ローマやベルニーニを扱った新書等があります。
- ベルニーニ (イタリア・ルネサンスの巨匠たち―バロックの誕生)
薄い本で、作品の写真+解説がメイン。大判の本で半分以上がカラーページ。白黒ページでは、時代で区分しながら特徴を解説。光の使い方、水の使い方、モチーフについて等。
- ベルニーニ―バロック美術の巨星
日本では多分「唯一の」と言っていい、ベルニーニとバロック美術の入門本。教皇の時代で区分しつつ、ベルニーニの人物像や作品解説、など詳しくたっぷり読ませてくれます。巻末にある、ベルニーニ作品の在所を書いたローマ地図は次回の観光で絶対持ってく!と思わせる逸品(`・ω・´)